ビタミンB1が効かない
次に再発したのは中学3年の冬だった。「待ってました!」とばかりに直ぐビタミン剤を服用したが、当然のごとく効果は全くなしで、症状は今までと同じだった。
1960年代で今のようなスマホもコンピュータもない時代。先生にも聞けない。友だちにも聞けなかった。
たとえ聞いたとしても理解されないと思った。
途中から、これは高校受験のプレッシャーから来るものだと思おうとした。そうすれば、受験に受かればこの症状から開放されるからだ。
試験には合格したが開放されなかった。
再発
この後再発したのは、小学校6年の冬だった。自分を取り巻く世界が急にこれまでと違って見え、マイナスの感情しか浮かんでこなくなった。身体的にも肩が凝って、ゲップが出る症状に悩まされた。
寝付きが悪くなり、やっと寝ついたと思ったら、朝早く目が覚めて、眠いのに眠れず布団の中で悶々とする日々が続いた。
それまで元気だった子供が、急に元気がなくなったのを心配して、祖母が一緒に病院(内科)を回ったが、どこも異常なしといわれた。
ただ、精神的なものは怖くてどの先生にも、両親や祖母にもだまっていた。説明のしようがなかったこともあったが、自分は、何かとてつもない精神の異常を抱え込んでしまったという恐怖で、誰にも言えなかったのだ。
発病
発病は小学校4年の冬だった。風邪をひいて3日程休んだ時、とにかく辛くて辛くて布団の中で泣いていた憶えがある。
特別叱られた訳でなし、学校でいじめられたわけでなし、どこか身体が悪いわけではないのに、とにかく辛くて・しんどくて怖くて仕方がなかった。
鬱の期間が2~3日と短かったこともあり厳密に診断基準を満たさないかもしれないが、得も言われぬあの感じは、今の鬱状態と同じものであったと考えている。
これを主治医話すと、主治医は、「小学校4年の発症なら学会ものだ!」といって否定するが、この時の気持は、その後定期的に発生する鬱の発病であったと思われる。
この小学校4年の時は直ぐに戻ったが、あの最初の恐怖はその後50年を経ても忘れることができないでいる。